光触媒セルフクリーニング機能
光触媒による防汚機能について説明します。
防汚機能をを理解いただくために以下の親水性防汚と酸化分解防汚について説明します。
親水性防汚と酸化分解防汚
建材の汚れは大気中に含まれる自動車排ガスの油分、黒鉛であるカーボン、有機化合物、それに砂埃などが混ざって附着するため、降雨などでは落とすことができず、清掃により強制的に擦り落とさないときれいになりません。
ここで光触媒はその効果を発揮できます。
光触媒防汚技術は物理的、化学的、両側面の科学技術によりその機能を説明できます。物理的側面としての「超親水技術」と化学的側面である「光酸化反応技術」の融合した表面科学です。
親水性とは
一般的には物質の表面に水滴を落としたとき、水玉が表面にできますが、これは水滴の水分子が表面張力と水滴の自重との釣り合いから自ら球形になろうとすることで起こる現象です。普通、ストローからガラス板に滴下した水はphoto-1のように玉のように丸まります。
ところが光触媒が加工され、かつ紫外線が照射されている表面ではphoto-2のように滴下された水滴は球状に丸まらずガラス表面上に平たく広がってしまいます。この状態を親水現象と呼びます。なかでも光触媒表面に紫外線が当たっている場合、水の膜のように平たく広がることを超親水性と呼び、光触媒の特徴的な機能とされています。
この超親水性現象は実験室の測定器でなく、実際に手に取って眺めてみるとphoto-3のようになります。
中央は何も加工していない塗装板、左端は親水加工をした表面、右端が光触媒加工された超親水性の表面で、水は弾かれないでシートのように表面全体が濡れていることが判ります。
光触媒による超親水性機能
基材に光触媒を塗布することにより、基材表面に光触媒薄膜を生成します。光触媒膜は表面にOH基を生成される膜であり、形状的には図3のように連続したOH基を持つ薄膜を形成します。OH基には水分が付着しやすいため、表面のOH基に空気中の水蒸気が付着して水の膜を形成します(図4)。これを光触媒による親水性機能と呼びます。
汚れのメカニズム
建物外壁やガラスはどのように汚れるのでしょう?
建材の汚れは大気中に含まれる自動車排ガスの油分、黒鉛であるカーボン、有機化合物、それに砂埃などが混ざって附着したものであることを説明しましたが、こうした汚れは建材の表面で密着してしまうため取れなくなります。
こうした汚れが附着するメカニズムを以下に説明します。
この状態で雨が降ったり、結露したり水分が付着すると、水が弾かれる表面のため水分は水玉になり表面に溜まります。
この繰り返しで建物表面が汚れていくのです。
それではこのような状態に光触媒はどう作用するのでしょうか?
光触媒薄膜による防汚メカニズム
この水膜の表面に砂埃混じりの油汚れが載ります。したがって水の上に浮いているような状態なので、ガラス表面とは密着していません。
水を撥水するのでは水滴の玉ができてしまい、玉状の水は乾燥が遅いので、そこに砂埃が附着しやすくなりますが薄い水膜は乾燥が速く、綺麗になった表面がさらに汚れるのを防止します。
一般的な光触媒とは異なり、弊社の光触媒薄膜は光が当たっていない状態でも既に親水性を具備しています。したがって光が当たることにより、より素早く超親水性機能を発揮して上述のような防汚プロセスを発揮します。
未コート (基材:タイル) |
加工後 遮光 |
加工後 紫外線照射(1時間) |
他社製品 紫外線照射(1時間) |
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接触角 | 60° | 5° | 8° | 52° |
超親水現象を利用したガラス面が汚れない事象は右の写真から見られます。これらは何れも降雨によりガラス面がどのように変化して見えるかを撮影したものです。
左側の写真は超親水現象により、水は広く薄くガラス表面に拡散していき、後に水滴を残しません。したがってガラス面は鏡のように平滑で、向こうの景色が透過して見えます。
反対に右側の写真は撥水により弾かれた水滴は玉状にガラス表面にのこります。玉状の水滴どうしがくっつくと水の流れとなって下方に流れ、縞をつくります。
ではどのように使われているでしょう?
建物の美観維持について実例を挙げて説明します。こちらを開いてください。