光触媒反応
この模式図で説明できるように、光触媒に紫外線の波長エネルギが与えられれば、電子は自由に動き回れるため、二酸化チタンの表面では電子が抜けてしまった孔の状態と、分離して外にいる電子の状態とができます。
ここで電子はマイナスに荷電しているため、電子が抜けた孔はプラスに荷電することになります。
こうしてプラスに荷電された孔は正孔と呼ばれ、電子が抜け出た孔を埋めるかのように、二酸化チタン表面に吸着している水分からOH基のもつ電子を引き抜いてしまいます。
電子がひきぬかれたOH基は不安定にとなるため、さらに自身の外で接触してくる有機物から電子を奪い、自身が安定になろうとします。
こうしてできた活性をもつ(不安定な)OH基を水酸ラジカル(OHラジカル)と呼び、高い酸化力を持つものとして理解されるのです。OHラジカルのもつ酸化ポテンシャルはオゾンや塩素イオンよりも強力で、温度に換算すると12,000℃にもなると説明されています。
また抜け出た電子が直接、周囲の酸素に結合するとO2-(O2マイナス)という同じく酸化活性の高いスーパーオキサイドが生じます。
OHラジカルやスーパーオキサイドは空気中の臭い成分や、水中に溶けた化合物など、鎖状有機化合物から電子を引き抜いて自身が安定化するという酸化現象を生みだします。
このような一連の電子を奪い去るという作用は、紫外線が二酸化チタンに当たることに端を発して、紫外線が当たり続ける限り連綿と起こり続けるのです。
その後、もはや自身の周りに分解すべき有機物がなくなると、OHラジカルはできても直ぐに壊れるだけで、無為にエネルギは消費されますが、そもそも太陽などの無限のエネルギ源を相手にしている訳ですから、そのことに問題はありません。