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光触媒環境材料の製造・光触媒コーティング・光触媒製品の評価試験・
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2024年1月22日

組織変更

光触媒マテリアルズ

光触媒とは

光触媒とは

まず「触媒」とはそれ自身は変化することなく化学反応を促進する物質とされていますが、光触媒は光が当たることによって触媒としての反応をする物質です。

光触媒の作用は身近な自然界の反応の一例として「植物の葉緑素による光合成」に例えられます。太陽エネルギーを変換してエネルギー物質に替えるという点がよく似ているからです。

以下に光触媒とはどのようなものか、どのように反応するかを説明します。

光触媒とはどのようなものでしょう?

光触媒の作用は次のように説明できます。

左の模式図で説明できるように、光触媒に紫外線の波長エネルギが与えられると電子は自由に動き回れるため、二酸化チタンの表面では電子が抜けてしまった孔の状態と、分離して外にいる電子の状態とができます。ここで電子はマイナスに荷電しているため、電子が抜けた孔はプラスに荷電することになります。

プラスに荷電された孔は正孔と呼ばれ、電子が抜け出た孔を埋めるかのように、二酸化チタン表面に吸着している水分からOH基のもつ電子を引き抜いてしまいます。電子がひきぬかれたOH基は不安定にとなるため、さらに自身の外で接触してくる有機物から電子を奪い、自身が安定になろうとします。こうしてできた活性をもつ(不安定な)OH基を水酸ラジカル(OHラジカル)と呼び、高い酸化力を持つものとして理解されるのです。OHラジカルのもつ酸化ポテンシャルはオゾンや塩素イオンよりも強力で、温度に換算すると12,000℃にもなると説明されています。また抜け出た電子が直接、周囲の酸素に結合するとO2-(O2マイナス)という同じく酸化活性の高いスーパーオキサイドが生じます。OHラジカルやスーパーオキサイドは空気中の臭い成分や、水中に溶けた化合物など、鎖状有機化合物から電子を引き抜いて自身が安定化するという酸化現象を生みだします。

このような一連の電子を奪い去るという作用は、紫外線が二酸化チタンに当たることに端を発して、紫外線が当たり続ける限り連綿と起こり続けるのです。

光触媒反応

ここで光触媒反応原理についてもう少し詳しく説明します。上の説明のように二酸化チタンに紫外線が照射されると電子と正孔ができます。

この電子の挙動を理解するには以下のバンド理論による説明が不可欠です。

電子は連続的にエネルギーをとることは出来ず、存在できるエネルギーの準位が存在します。

例えば分子においては、光によって電子が上の準位 (エネルギーの高い方)へと励起されます。

また、固体(半導体)においては、電子のエネルギー準位はバンドすなわち帯を作ります。

バンドには、電子が多すぎて身動きがとれない価電子帯、

電子が動きやすくて電気伝導に寄与できる伝導帯、

この両者の間に横たわるそもそも電子が存在できない禁制帯(ここをバンドギャップと称します)の3種類の領域が存在します。

もう少し踏み込んだバンド理論についての理解が必要な方はこちらの頁をご覧下さい。

何もエネルギが与えられない状態では価電子帯に滞留している電子が、紫外線エネルギーを受け取ることで励起され、エネルギをもった電子となって伝導帯に移動する現象が起き、この現象を「電子が分離する」意味として説明できます。

電子はマイナスに荷電しているため、電子が抜けた孔はプラスに荷電されるため、孔は正孔と呼ばれ、電子が抜け出た孔を埋めるかのように二酸化チタン表面に吸着している水分からOH基のもつ電子を引き抜いてしまいます。電子が引き抜かれたOH基は、不安定にとなるため、さらに自身の外で接触してくる空気中の臭い成分や、水中に溶けた化合物など、鎖状有機化合物から電子を奪い活性化されたOH基となり、このOH基そのものが安定になろうとします。このOH基を水酸ラジカルと呼び、塩素やオゾンよりも高い酸化力を持つものとして理解されています。

さて半導体である光触媒は価電子帯にあった電子が伝導帯に移動するのに移動に足るエネルギを与えられなくてはなりません。

そこで与えられるエネルギーとはどんなものでしょうか? 

光は波としての性質と粒子としての性質を同時に併せ持っています。

粒子としての性質は波の概念で表すことができないため光子の持つエネルギーで表します。

有名なアインシュタインの光の公式 E=mc2 がこの式で、波としての性質はE=hνで表されます。

価電子帯にあった電子が伝導帯に移動するのに移動に足るエネルギ、すなわち禁制帯を超えるエネルギが必要で、この電子の移動に要するエネルギーはバンドギャップエネルギーと呼ばれることは前述しました。

半導体にはその物質特有のバンドギャップがあり、二酸化チタンの場合は 3.2eV (electron-volt) です。

この移動に必要なエネルギ=バンドギャップエネルギは波動式から光の振動数とプランク定数で表現することができます。

ここで振動数は光速を光波長で除算したものですから、エネルギを波長で表現できます。

E= hv  v=c/λ ですから E=h ・ c/λ これを移項すると λ=hc/E

ここでEは二酸化チタン 3.2eV ( 3.2eV = 3.2×1.6×10-19J ) であり、既知数 である光速 c :3.0×108m/s、プランク定数 : 6.63×10-34J・s)を代入して解くと

λ=388nm

このエネルギを与えられるのは388nmの波長、すなわち下図にある可視光領域から少し左にふれた紫外線領域を始まりとして、全紫外線領域がバンドギャップエネルギを満足するということが判ります。

光触媒適応波長域

このように、光触媒を反応させるに足るエネルギーは紫外線波長の光であること、すなわち紫外線応答光触媒の励起メカニズムを説明できました。

それでは紫外線以外では光触媒を作用させることはできないのでしょうか?

バンド理論と与えられるエネルギーの理解をベースにすると、利用する光の範囲により光触媒を定義することができます。

紫外線応答光触媒:電子が励起される(光を吸収して反応種が発生する)ために必要なエネルギー下限値が紫外光領域の光波長である光触媒材料

紫外光応答型光触媒は電子を励起できる光のエネルギーの下限値が紫外光領域にある材料で、したがって太陽光など紫外線下でないと利用できません。

可視光応答光触媒:電子が励起される(光を吸収して反応種が発生する)ために必要なエネルギー下限値が可視光領域の光波長である光触媒材料

可視光応答型光触媒は電子を励起できる光のエネルギーの下限値が可視光領域にある材料であり、紫外光に加えて可視光でも応答します。電子を励起するためのエネルギー障壁、すなわちバンドギャップが紫外光型の材料よりも小さいため、紫外光よりも低いエネルギーの可視光でも吸収して光触媒反応が起こります。

すなわち、可視光応答型光触媒は紫外光と可視光の一部で光応答し、屋内の紫外光を含まない照明下でも反応が起こります。

図からも明らかなように可視光応答と言っても全ての光波長が利用できるという訳ではありません。

また二酸化チタン光触媒単独で可視光応答が可能ではなく、様々な技術改善により可能にしているのが現状です。

光触媒の利用分野

現在、光触媒としては「二酸化チタン」が主に用いられますが、「二酸化チタン」は化粧品や歯磨き粉、錠剤の白い部分に既に利用されるなど無害・無毒のため、多用されています。

こうした二酸化チタン光触媒の性質を利用して様々な分野での利用が始まっていますがその利用分野でも注目されているのが左の5つの機能です。

この他にも光触媒機能への理解に伴い、様々な分野での利用を期して開発が進められています。

日本で発見され、日本で開発されてきた独自技術「光触媒」に国も早くから着目して「光触媒技術の用途と関連産業分野」を経済産業省のウェブサイトでも紹介しています。

 

光触媒防汚: 建物外壁・ガラスの汚染防止セルフクリーニング

建材の汚れは大気中に含まれる自動車排ガスの油分、黒鉛であるカーボン、有機化合物、それに砂埃などが混ざって附着するため、降雨などでは落とすことができず、清掃により強制的に擦り落とさないときれいになりません。ところが光触媒が加工された表面では、こうした汚れが密着せず、かつ降雨など水が掛かることで洗い流されます。

     この効果を光触媒防汚と呼び、その詳細の作用についてはこちらをご覧下さい。

光触媒抗菌抗ウィルス:生活レベルでの雑菌繁殖防止

光触媒は光のエネルギーにより励起され発生したOHラジカルが作用します。このOHラジカルはその強力な酸化力により菌のDNA螺旋を切断し、脂質・タンパク質を酸化することから微生物そのものを不活化し、次世代固体を生じさせず、繁殖を抑制させることが知られています。

またウィルスについては光触媒作用により発生した活性酸素種が、ウイルスの外膜(エンベロープあるいはカプシド)を酸化分解することにより、
ウイルスの活性(感染能)を抑制することと説明されます。

     こうした光触媒による抗菌・抗ウィルス効果の詳細の作用説明についてはこちらをご覧下さい。

光触媒大気浄化:大気中の汚染物質である窒素酸化物NOx、硫化物SOxの除去

道路資材としての防音壁・遮音版、中央分離帯、ガードレールなど設置された箇所に光触媒加工を施すことで、自然の力である太陽光と降雨のみにより排気ガスNOxの抑制を行うことができます。

光触媒の大気浄化機能はNOの酸化除去として解釈されています。有機物分解ではなく、あくまで酸化反応がその骨子となり以下のようにます。

NO  ー酸化→ NO ー酸化→ NOx

一定区間を走行する自動車から排出されるNOxの10%をその周辺に設置された光触媒が除去することができれば、十分に環境価値のある性能であると考えられます。このような観点から空気中のNOx除去性能については右のような現地実証実験が実施されました。写真の防音壁には光触媒が加工されており、通行する自動車から排出されるNOx は光触媒反応が生じます。

NO2 は酸化されてNO3 となり降雨によりHNO3 、つまり硝酸水が生成します。これをタンクに集めてその濃度を測定すれば、通行する自動車から排出されるNOx がどれほどトラップできたのかが判ります。

     光触媒による大気浄化効果の詳細説明についてはこちらをご覧下さい。

光触媒水浄化:飲料水の高度化浄水や微量低濃度汚染物質排水処理

飲料水浄化は膜濾過や吸着剤などのように、すでに技術的に確立されているものは多いですが、初期コストとランニングコストが共に、途上国の特に低所得者層には手が届かないのが実情です。とくに途上国、地方の農村部集落では雨水や湧水などを未処理で飲用にしている生活環境が続いています。
太陽光は低緯度地域での利用が最適とされていますが、開発途上国の大半がそこに位置していることを考えると、光触媒はこの太陽光を利用することで水問題を一挙に解決する可能性を持っています。

ではどうして光触媒が水浄化に利用されてこなかったのでしょうか?

第一に、これまでは水中で長期に渡って使用出来る光触媒材料が存在しませんでした。

第二に、飲料水という実環境での水を光触媒処理の対象としたとき、水中にもともと存在する成分がどのように光触媒機能に影響するのか、も明らかではありませんでした。

光触媒は、太陽光さえあれば水中の微生物や有機汚染物質を処理できるという経済性を含めて優れた能力にも関わらず、このような問題点が解決できていないため実用化されていませんでした。

光触媒は、活性炭のような物理吸着剤とは異なり、化学的に有機物を分解することができますが、反応時間が掛かり処理量が小さいという弱点があります。
この弱点を克服するため、面積が大きく、かつ硬度の高い、光触媒固形剤として産まれました。
本品は厚さ 0.5~1.0 ㎜のチップがすべて光触媒二酸化チタンという構造で、担体であるセラミックスや硝子ビーズ表面にコーティングされた光触媒材とは根本的に異なります。
したがって剥離することもなく、もし割れてもその破片自体が同じく二酸化チタン固形物ですから光触媒として機能します。


光触媒消臭:生活悪臭やシックハウスVOCの除去

有機物の分解は、脱VOC消臭の効果にも表れます。VOCはじめ臭いの成分は主に有機化合物であるため、OHラジカルにより酸化され、異なる物質に変換されることで臭いとして感じなくなることを実証しています。揮発性有機化合物(VOC)として塗料に含まれるトルエン、建材や家具から発生するアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド 生ゴミ臭の原因物質のメチルメルカプタンなどが対象物質です。 これらのような化学物質は別名「シックハウス症候群原因物質」とされ、対策が求められる物質です。

こうした化合物は光触媒酸化により分子構造が壊れ、空気中の濃度が低減していきます。

光触媒をどのようにご利用なされますか?

当社では様々な光触媒製品およびサービスを提供しています。

光触媒ゾル

二酸化チタン粉状光触媒は、100%近くの純度で価格も手頃とお考えの方もおいででしょう。しかしいざ商品化となると、バインダーの選定、混合比、塗布方法などが想像以上に高い障壁となることが少なくありません。
当社では、“固定化成膜”に注目し液状の光触媒技術を確立いたしました。 微粉末を水やアルコール中に分散しただけの「スラリー」とは異なり、硬く、透明度の高い被膜が容易に作ることが出来る「光触媒ゾル」で思いのままに光触媒コーティングを行えます。高性能かつ乾燥程度で成膜可能なゾルのラインナップからお使いになられる環境にあわせてお選びいただけます。

光触媒材

粉状二酸化チタンのバインダによる塗布や薄膜光触媒による焼成コーティング、いずれも使用環境によっては光触媒が基材表面から剥離、離脱してしまうケースもありえます。摩耗、剥離の心配なく常に光触媒が存在する、環境浄化装置の長期にわたる使用にはこうした確実性が要求されます。弊社ではガス仕様、水仕様と2つの光触媒固形材を用意しました。

光触媒標準サンプル

光触媒をお使いになる時、その能力がどのくらいのものか、どの様な形で用いることができるか等、判断しづらい面もあります。その様なときに即、ご使用いただけるテストピースをお使いやすいサイズでご用意いたしました。また、すべてのサンプルを耐熱、光透過性に優れたホウケイ酸ガラスに統一してさらに使いやすくなりました。

光触媒受託加工およびアドバイザリー

御社での光触媒製品化に向けて「光触媒剤の供給と加工方法」「製品開発時点での評価方法」「商品化時点でのマーケティング手法」何なりとお力になります。また現地工場での加工アドバイス、サンプル試作へのご協力にもご対応致します。

弊社の光触媒の特徴

粉でない結晶二酸化チタン

通常、光触媒には二酸化チタンが用いられています。左の写真のように元来白色隠蔽塗料として、もともと粉状で市販されてきた二酸化チタンは食品添加物や薬品にも使用される安全な物質として知られてきており、光触媒として用いるにも粉状でバインダと共に用いられることが多いです。粉を形成している結晶がナノサイズのため、二酸化チタンナノ材料としても扱われていますが、弊社ではこうした粉でなくナノ材料としての特性を活かすべく別の製法を見出しました。

国内に上梓されている二酸化チタンコーティング剤の大半は粉のアナターゼ型二酸化チタンを利用して、 如何に細かく目に見える粒を砕いてバインダに混ぜるか、が製品の良否を決定付けています。 これに対して、当社では粉状の二酸化チタンを一切、使用していません。左の電子顕微鏡写真のように、ナノサイズの二酸化チタン結晶をそのまま液中に生成させてコロイドの形で製品化しています。

このような結晶分散型光触媒の概念、成り立ち、技術的評価など詳しい内容は以下の頁よりご覧下さい。